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よくある介護事故ランキング!~事例別に対策までご紹介~

介護現場で働く人にとって、切っては切れないかつ怖いのが「介護事故」です。
介護事故は、施設利用者の健康被害はもちろん、場合によっては施設の運営まで脅かすことになります。ここでは、そんな介護事故について、発生頻度の高いランキング形式でお伝えして、その対策まで考えていきます。

介護事故発生ランキング

施設で発生する頻度が高い、介護事故について見ていきましょう。
ここでは、「平成26年度:福岡市介護サービス事故報告書の統計※1」をもとに、発生頻度の高い事故事例をランキング付けしていきたいと思います。また、事故に対しての対策まで含めてご紹介致します。まずは、図でまとめたものをご覧ください。

では、詳しく見ていきましょう。

1位:転倒・転落事故


☑1390件(全体の43%)

転倒・転落事故の概要

介護施設で起こる事故の中で、最も多いのが転倒・転落事故です。全体のおよそ四割強を占めます。転倒・転落事故は、立ち上がり・起き上がりの際や、施設内の移動中、車いす利用時、リハビリをしている時など、様々な場面で起こる可能性があります。
事故が発生しやすいタイミングとしては、日中の介護者が目を離してしまった時や、夜間・明け方の目が届きにくい時間帯が挙げられます。

転倒・転落事故への対策

人的補助・見守り

転倒・転落事故の対策としては、まず転倒・転落の可能性が高い利用者に対しては、補助を欠かさないという心がけが大切になります。
日中のレクリエーション時間、食事・トイレ介助などを行う際も、転倒・転落の危険がある利用者を放置する時間がないよう、見守りをしっかり行いましょう。

見守りシステムの活用

人的補助や見守りが難しい夜間・明け方などには、「見守りシステム」の活用を検討しましょう。「見守りシステム」は、精密なセンサーで利用者の状態を常時把握。体動や端座位など、ベッド上での利用者の細かな動作を検知できます。
「起き上がり・離床の把握」を徹底することが可能になり、転倒・転落の予防、対策を行うことができます。

▼見守りシステムに関して、詳しくは下記URLをご参照ください。
見守りナースコール(24時間365日見守り・看取り介護)
介護向け見守りシステムで、介護施設入居者の生活全般を総合的に見守ります。心拍数、呼吸数、温度、湿度、離床、徘徊等のセンサーが24時間365日見守るので、スタッフの業務を低減と精細な見守り対応が可能になります。
▼転倒に関して、詳しくは下記記事にまとめてあります。御覧ください。
介護施設の転倒事故の防止対策とは?原因から解説!
高齢者の転倒は、発生する頻度が高いにもかかわらず、最悪の場合寝たきりのキッカケにもなる恐ろしい事故です。介護の現場で転倒事故が起きやすいケースと、その対策について見ていきましょう。

2位:感染症の事故


☑560件(全体の17%)

感染症事故の概要

転倒・転落事故の次に多いのが感染症による事故で、全体の二割弱となっています。
感染症での事故は、冬季に発生する「インフルエンザ」「ノロウイルス」に特に気をつけたいところ。これらの感染症は発生頻度が高く、感染力も強いため注意が必要です。特に免疫力の低下している高齢者にとっては、感染によって命の危険につながる可能性もあります。
利用者に感染症が発生した場合、迅速かつ適切な対処で、悪化させないことが大切です。

▼感染症に関して、詳しくは下記記事にまとめてあります。御覧ください。
介護施設での感染症と対策とは?よくある事例と合わせて紹介
今年になって麻疹の流行が問題となりました。これを期に、介護施設で起きやすい感染症の種類から、介護施設で必要な感染症対策について、よくある事例と合わせて見ていきたいと思います。

感染症事故への対策

基本的な予防対策、予防接種

感染症事故の対策としては、まず手洗いうがいが挙げられます。介護者は、介護前後の手洗いも徹底しましょう。
インフルエンザなどの、予防接種によって対策が可能な感染症は、利用者・介護者ともに接種をしておくようにしましょう。

バイタルサインで体調把握

感染症の感染拡大や重症化を防ぐためには、日頃から利用者の体調変化にいち早く気づくことが大切です。
バイタルサインは、高齢者の体調異常を伝えてくれます。いつもと違った様子はないか見て確認すると同時に、体温や心拍呼吸などバイタルサインの測定で体調の変化をチェックしましょう。

▼バイタルサインに関して、詳しくは下記記事にまとめてあります。御覧ください。
高齢者のバイタルサイン留意点【異常値・正常値表記】
高齢者の健康を維持するために必要なバイタルサイン。あなたはどの状態になったら危ないのか知っていますか?ここでは基本的なバイタルサインである体温、脈拍、呼吸、血圧の4点と目視で確認する高齢者のバイタルサインをご紹介します。

3位:誤薬の事故


☑361件(全体の11%)

誤薬事故の概要

3位の誤薬事故は、全体の一割程度となっています。
内容としては、「服薬すべき薬と違う薬を使用させた」「服薬させる時間を間違えた」「服薬させる量を間違えた」「服薬させ忘れた」「服薬すべき人と違う人に使用してしまった」「使用時に床に落としてしまった」などが挙げられます。
いずれもの誤薬も、ちょっとした人為ミスから起こります。単なるミスで「次から気をつけよう」で済む事故ならまだいいのですが、誤薬の内容と利用者の状態によっては、命に関わることもあるので、注意が必要です。

誤薬事故への対策

確認作業の徹底を

誤薬事故の対策は、とにかくミスをなくすために服薬介護の確実性を上げることです。確実性を上げるには、確認を徹底するしかありません。
声出し確認や職員二人でのダブルチェック、服薬手順の固定など間違いを可能な限りなくすようなやり方を決めて対策しましょう。また、万が一誤薬が発生してしまった場合は、なぜミスが起きたのか現状のやり方を見直すことが必要です。


4位:接触の事故


☑117件(全体の4%)

接触事故の概要

4位は接触の事故で、全体の0.5割弱です。接触事故は、人や物と衝突したことによる事故です。
例えば車いすで移動した際に壁にぶつかってしまった場合や、介助の際に道具や身体をぶつけてしまった場合、居室の出入口でタイミング悪く衝突してしまった場合など、様々な場面での接触が挙げられます。
特に疾患によって脳の機能障害が起きている利用者さんは、空間把握・認知が身体的に難しくなっていることもあります。
接触によって怪我をしたりそのまま転倒したりしてしまうことがあるので、注意が必要です。

接触事故への対策

接触事故への対策は、周囲に目を配ることが第一です。周囲を見て動くことで、出会い頭の衝突を避けたり、接触事故を起こしそうな利用者の補助が可能となります。
また、介助の際も接触事故が起こりやすくなっています。特に移乗介助の際は、利用者の身体と周囲の物が接触事故を起こす危険性があります。介助に十分な人数・スペースを確保できているか確認することが、予防策となるでしょう。


5位:誤嚥の事故


☑113件(全体の4%)

誤嚥事故の概要

5位は誤嚥の事故で、全体の0.5割弱です。誤嚥は、嚥下機能が低下した高齢者に起きやすい事故です。誤嚥によって窒息を起こしたり、肺炎の原因となってしまい、最悪の場合死亡にも繋がることがあるので、十分注意しましょう。

誤嚥事故への対策

誤嚥事故への対策は、利用者が飲食している際の見守りを徹底することが挙げられます。食事介助が必要な場合は、利用者の状態に合わせて介助を行いましょう。
誤嚥してしまった場合は、意識がしっかりしている場合であれば、背中をたたいたりしてケアを行い、様子を見ましょう。その後状態が回復しない場合は、病院を受診させましょう。
誤嚥して意識がない場合は、救急搬送が必要となります。その場合、まずは応急措置も必要となるでしょう。


6位:異食の事故


☑101件(全体の3%)

異食事故の概要

6位は異食の事故で、全体の0.3割です。異食事故は、主に認知症の利用者に起こりやすい事故です。異食事故は、着用物や日用品、排泄物など、食物以外の物を食べてしまうことで発生します。中でも洗剤や電池などの場合、異食によって命が危険にさらされる事もあるので、十分注意が必要です。

異食事故への対策

異食事故への対策は、異食が発生しないような環境を整えることが大切です。日常生活で必要がないもので異食の危険性があるものは、利用者の近くに置かないようにしましょう。
また異食の原因にもよりますが、「食事の回数を増やす」「歯磨きによって食事終了の印象をつける」など、利用者の生活リズムを異食が起きにくいようにしていく事も有効です。


7位:徘徊の事故


☑20件(全体の1%)

徘徊事故の概要

最後は徘徊の事故で、全体の0.1割です。徘徊は、認知症の症状によって起こります。利用者が徘徊中に発生した交通事故や怪我などが、徘徊事故となります。

徘徊事故への対策

徘徊事故への対策は、まずは徘徊が起きないようにすることでしょう。それには、心理的・物理的両面からのアプローチが有効です。

心理的アプローチで対策

実は、徘徊はただ闇雲に行われているわけではなく、何かしらの動機・思考を元に起こります。そのため、徘徊しようとしている人を無理やり止める・叱るといった力技では、徘徊が悪化することもあり逆効果となってしまいます。
徘徊は、行動パターンを把握し、なぜ徘徊するのか優しく問いかけたり、気を紛らわしてあげることが心がけとして必要となります。

物理的アプローチで対策

たとえば夜間など、介護者の目が届かない時に徘徊してしまう利用者もいます。発見が遅れてしまうこともあるので、徘徊危険度が高い利用者には夜間の見守り強化が有効です。
たとえばセンサーを活用した居室見守りなら、ベッドセンサーで離床を検知したり、人感センサーで在室把握が可能になります。認知症の方の動きを見守ることができるので、安心です。

▼介護センサーに関して、詳しくは下記記事にまとめてあります。御覧ください。
離床から見守りまで~介護施設で活躍!介護センサーの種類をご紹介
介護施設の問題解決のため、離床探知・徘徊検知・転倒防止など、さまざまな目的でセンサーが設置されています。ここでは介護施設でよく使われるセンサーから最新のセンサーまで、多数のセンサーをご紹介しています。導入の際のご参考にどうぞ。

その他の事故

☑565件(全体の17%)

概要と対策

その他のカテゴリには、食中毒や交通事故、職員の違法行為など様々なものが含まれます。分類できない様々な事故が、全体の1.5割程度を占めているということですね。
介護施設では予想もつかない事故が起こることもありますが、それぞれに合った対策が必要です。

▼合わせてチェック!
介護事故は事前に予防対策をしておくことが大切ですが、対策をしていても起きてしまう時はあります。
そこで介護事故が起きてしまった時の備えとして大切なのが、ちゃんと記録を残しておくことです。書面での記録はもちろんですが、録画などの映像でデータが残っていると証拠となっていいでしょう。弊社では施設の安全管理にも活躍する、ネットワークカメラを使用したシステム連携のご提案を行っています。詳細は下記をご覧ください。
防犯・監視だけでなく見守りもできる「カメラ連動ナースコール」|平和テクノシステム
監視カメラ、防犯カメラ、そして見守りカメラ。ナースコールとの連動で施設まるごと見える化ができます。よりきめ細やかな対応が求められる介護、医療の現場でサービス品質の向上につながります。

まとめ

いかがだったでしょうか。このように介護施設では様々な事故が起こりえます。
利用者の安全・施設の運営を守るためにも、介護事故別の対応・対策・リスクマネジメントが必要ですね。

厚労省が初の全国調査?

そして介護事故に関する意識は、国全体でますます高まっています。文中で引用したような市町村での集計はありますが、国全体での集計は今までありませんでした。
ところが今年に入り、特別養護老人ホームや介護老人保健施設で起きる事故の実態を把握するため、厚生労働省がはじめての全国調査を行うことになったと発表されました。
今年度中に調査結果をまとめ、施設における事故防止対策を検討するとのこと。事故を防ぐために必要な体制や職員が身につけるべき知識などを盛り込む方針なので、今後の展開に注目したいところです。

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引用資料