介護支援に活躍!介護ロボットの現状・種類~新規追加分野とは?~
近年、介護側の介護支援・利用者側の自立支援をすることで、介護の負担を軽減する「介護ロボット」の活躍に期待が寄せられています。
そして先月、厚生労働省と経済産業省から提示されている「ロボット技術の介護利用における重点分野」で、介護ロボットの開発支援分野が新しく追加されました。その分野とは「介護業務支援」です。ここでは最新の版の重点分野の紹介と共に、介護支援・自立支援のための介護ロボットの概要から合わせてまとめています。
目次
介護ロボットとは?
介護ロボットは、介護従事者の介護支援・負担軽減と、利用者の自立・生活の質向上をサポートするための機器のことを指します。「ロボット技術の介護利用における重点分野」として、厚生労働省と経済産業省から指針も提示されています。では、どのような種類の介護ロボットが、重点分野と定義されているのでしょうか?
介護ロボットの種類 ※1
(1)移乗介助ロボット
移乗介助の介護ロボットは、介助者による抱え上げ動作のパワーアシストする機器です。ロボット技術を用いて離床や入浴、排泄などの際に発生する加重をサポートします。
介護者が着用して移乗を補助するタイプの装着型と、ロボット自体が移乗を補助する非装着型に分類されます。
(2)移動支援ロボット
移動支援の介護ロボットは、高齢者の移動動作を補助する機器です。
荷物等を安全に運搬することで外出をサポートできる屋外型と、屋内での移動・立ち座り(特にトイレへの往復やトイレ内での姿勢保持)を支援する屋内型に分類されます。
(3)排泄支援ロボット
排泄支援ロボットは、排泄物の処理にロボット技術を用いた排泄支援機器です。
多くは高齢者のベッドサイドに設置できるもので、排泄物のにおいが室内に広がらないように排泄物を室外へ流す、又は容器や袋に密閉して隔離することができる、室内での設置位置を調整可能という特長が上げられます。
(4)見守り・コミュニケーションロボット
見守りロボットは、介護施設において使用するセンサーや外部通信機能を用いた機器で、徘徊や転倒の恐れがある入居者を見守ります。
在宅介護において使用する転倒検知センサーや外部通信機能を備えたロボット技術を用いた在宅型機器もあります。
(5)入浴支援ロボット
入浴支援ロボットは、ロボット技術を用いて、浴槽に出入りする一連の動作を支援する機器です。
浴室から浴槽への出入り動作、浴槽をまたぎ湯船につかるまでの一連の動作の支援などが可能です。
今回新しく追加された分野と項目
新規追加分野「介護業務支援」とは?
先程述べた5つの重点分野の介護ロボットは、既に国の積極的な支援を受け、開発が進められています。今回、その5分野に追加して、もう1分野が追加されました。
その新規分野が「介護業務支援」です。介護業務支援ロボットとは、いったいどんなものでしょうか?経済産業省からは以下のように提示されています。
(6)介護業務支援
ロボット技術を用いて、見守り、移動支援、排泄支援をはじめとする介護業務に伴う情報を収集・蓄積し、それを基に、高齢者等の必要な支援に活用することを可能とする機器
出典引用:経済産業省
今回の改訂は、介護現場と開発企業の協議を通じて、介護現場のニーズを反映したロボット介護機器の提案を取りまとめている厚生労働省の「ニーズ・シーズ連携協調協議会」から提案された内容等に基づくものとのことなので、業務効率化を願う現場の声が反映された結果ではないでしょうか。
介護業務支援は介護の質の向上に繋がる
介護業務支援ロボットの定義に「見守り、移動支援、排泄支援をはじめとする介護業務に伴う情報を収集・蓄積」とあります。
収集した介護データを記録し、その後の介護に活用することで、業務効率化だけではなく入居者へのケアの質の向上にも繋がっていくでしょう。
その他既存分野に追加された項目
介護業務支援分野以外の既存5分野にも新項目が追加
今回のロボット技術の介護利用における重点分野改訂で、既存分野である「移動支援」「排泄支援」「見守り・コミュニケーション」に関しても新規で4項目が追加されました。
○移動支援分野
(1)高齢者等の外出等をサポートし、転倒予防や歩行等を補助するロボット技術を用いた装着型の移動支援機器
○排泄支援分野
(2)ロボット技術を用いて排泄を予測し、的確なタイミングでトイレへ誘導する機器
(3)ロボット技術を用いてトイレ内での下衣の着脱等の排泄の一連の動作を支援する機器
○見守り・コミュニケーション分野
(4)高齢者等とのコミュニケーションにロボット技術を用いた生活支援機器
追加された項目に当てはまる介護ロボットとしては、外出時に被介護者が装着することで転倒予防や歩行補助が可能な介護ロボットと、排泄を予測して誘導する介護ロボット、排泄時に行う動作支援が可能な介護ロボット、高齢者とのコミュニケーションの橋渡しとなる介護ロボットとなっています。
今後の開発支援予定
経済産業省では、国立研究開発法人 日本医療研究開発機構が実施するロボット介護機器開発・導入促進事業において、開発支援を行います。
本事業の公募を本年度中に開始する予定です。厚生労働省では、開発中の試作器について介護現場での実証、成果の普及啓発などを行い、実用化を促す環境を整備するほか、ロボット介護機器を活用した介護技術の開発を支援していきます。
まとめ
今回の新規分野の追加で1分野5項目が追加され、合計6分野13項目となった介護ロボットの重点分野。
国からの支援もあり、介護を支援するロボット事業はどんどん拡大していくと考えられています。今後の介護現場において重要な機器となってくることでしょう。
特に介護業務支援分野に適した機器によって、介護スタッフの事務業務全般がサポートされるようになることに期待します。これまで業務を圧迫していた記録作業・報告作成などの負担が軽減されれば、介護業務の生産性と効率性の向上を図る観点はもとより、魅力ある職場づくりにもつながっていくでしょう。
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参考資料:
○ 経済産業省「ロボット技術の介護利用における重点分野」PDF
※1 (一社)日本ロボット工業会 (JARA) 管理の「介護ロボットポータルサイト」を参考に画像を作成