ナースコールが押せない?押さない?問題は2つに分けて考えよう
ナースコールをなんとなく押せない、ナースやスタッフを呼びにくい、身体的に押せない、もしくは押しづらい。そのようなケースがあります。利用者を守るナースコールが押せない、または押しづらいのでは大問題。ここではその理由と解決法について考えてみたいと思います。
ナースコールを押せない2つの理由
ナースコールを押せない理由は大きく2つに分けることができます。
「身体的に押せないケース」と「心理的に押せないケース」です。それぞれに分けて見てましょう。
身体的に押せないケース
身体的に押せないケースとは、身体になにか障がいを持っており、押しボタンを押せなかったり、握りボタンを握る力が弱かったりするケースです。
このような方をここでは便宜上、弱力者と呼びますが、弱力者はその程度や部位によってさまざまです。左右どちらか、もしくは下半身に麻痺を持つ方や、首から下の全身が麻痺している方までさまざまです。
弱力者へ向けた呼出機器もさまざまな種類があります。ただし、機器だけではカバーできないこともあり、設置方法など個々の人にあわせ工夫する必要もあります。
身体的に押せないケースの対策
身体的に通常の呼出装置での操作が難しい方へ対策は専用の機器が有効です。弱力者向けの呼出装置にもいくつかの種類がありますので幾つかご紹介します。
弱力者向けナースコール呼出装置
- 赤外線(超音波)センサー
赤外線や超音波を出力しその前を遮るなどした場合に通知します。握力が弱く握りボタンが持てない場合などでも、腕を動かせればナースコールを呼び出すことができます。- 呼気(吸気)センサー
息を吹いたり、吸ったりの動作を検知するセンサー。カラダが動かせなくてもナースコールの呼出ができます。- ヴォイスセンサー
『声』に反応して発報するセンサー。カラダが動かせなくても声が出せればナースコールの呼出ができます。- タッチセンサー
ベッドサイドのフレームなどに取り付け、タッチ動作によって通報するセンサー。『押す』という動作が難しくても、ベッドサイドフレームに手を置くことはできる、といった人に有効なセンサーです。- ベッドセンサー・マットセンサー
体重の加圧、減圧を検知して発報するセンサー。ベッド上で起き上がった場合などにナースコールを通知することができます。
どちらかといえば、徘徊対策や転倒・転落対策としての用途で使用されます。
いずれかの装置で完璧、という場合は少ないかもしれません。センサーの選択や設置場所、設置方向には利用者ごとに考える必要があるでしょう。
▼合わせてチェック!
身体的に押せない状況でも呼出しに対応可能な「ナースコールボタン」について、下記記事でまとめてあります。呼吸を利用した特殊な呼出し装置や、各種センサーを利用した呼出しなどが掲載してあります。ぜひご確認ください。ナースコール呼出しボタンの種類を要介護度別に分けてご紹介!
心理的に押せないケース
身体的な衰えはあるものの、意識はしっかりしている高齢者の中には、自分のことは自分でやる、という意識が強い方がいます。また、忙しそうなスタッフに気を使いナースコールが押せないということもあるようです。 心理的、精神的にナースコールが押せない、呼び出せない理由をまとめてみます。
ナースコールを押せない理由
- ナース(スタッフ)に迷惑がかかる。
- ナース(スタッフ)に申し訳ない。
- 他人に頼ることができない。
- 他人に頼ることが情けないと思ってしまう。
- 他人に頼ることが恥ずかしい。
このような方の場合、ギリギリまで我慢して状態が悪化してしまったり、自分で無理に行動して怪我をするなどのリスクが高まります。
そのため、必要なときには遠慮なく押せる環境作りや、どうしても押せない、押さない方のためのサポートが必要となるでしょう。
心理的に押せないケースの対策
心理的にナースコールが押せない方への対策は大きく2つ考えられます。「巡回の頻度や質による対策」と「センサーによる見守りサポート対策」の2つです。
巡回の頻度や質による対策
ナースコールを押すのをためらう理由としては、「こんなことで呼んで良いのか?」「呼んだら迷惑なのではないか?」などをあげる人が居ます。
そういった方へは「何かあったら呼んでください」「迷ったら呼んでください」などの声掛けが有効でしょう。
次に、「他人に頼りたくない」「情けない自分を見られたくない」などの理由でナースコールを押さない、押せない人への対応についてです。
そういった人にも先程の声掛けは有効でしょう。信頼関係が強まれば気軽にナースコールを押してくれるかもしれません。
ですが、どうしてもナースコールを押せない、押さない人も居ます。そんな人には巡回の頻度を増やしたり、巡回のたびに何か困ったことがないか尋ねるのがよいでしょう。ナースコールは押せなくても、尋ねられれば答えてくれることもあります。そうすれば、ひとりで勝手に行動したり、我慢してしまうことも回避できるでしょう。
センサーによる見守りサポート対策
どうしてもナースコールを押せない、押さない人に対する最後の手段として、押さなくても通知するセンサーによる見守りサポートシステムを検討してみる必要があるかもしれません。
センサーによる見守りサポートとは、利用者の呼吸や心拍数と言った生体情報や、温度や湿度といった居室情報をセンサーで24時間365日常時把握し、異常数値になった場合に自動的に通知するシステムです。
これにより何か緊急事態になった場合、ナースコールを押す動作をしなくても通知することができます。
また、生体情報の変化をデータとして保存、閲覧できるので、生活習慣の変化などを把握し、夜寝れない、などの状況を早めに把握し対処することができます。
これによりナースコールを押さなければならない状況になるのを未然に防ぐことが可能になります。
▼合わせてチェック!
24時間365日自動で見守り、体調の変化を見逃さない!見守りシステムについては、以下もご参照ください。介護を円滑化!これからの介護施設に必要な見守りシステムって?
まとめ
ナースコールを押せない、押さない理由は大きく分けてふたつ「身体的理由」と「精神的理由」がありました。
このうち「身体的理由」に関しては対応する機器を使用し、その配置を工夫する必要があるでしょう。また「身体的理由」でナースコールの呼出しができない方の中には、さらに「精神的な理由」も重なり呼び出せないケースもあります。
そこで、声掛けなど巡回の質や頻度の改善もあわせて考慮しましょう。また、このほか、センサーによる見守りシステムをあわせて検討してみましょう。