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介護を円滑化!これからの介護施設に必要な見守りシステムって?

今、介護施設がとりくむべき重要な課題のひとつとして、入居者の事故防止が挙げられます。
介護度の重い方や見守りの必要な高齢者は年々増加しており、それにともない、ベッドからの転落や徘徊による事故への対策など、介護施設側の負担も増大の一途をたどっています。その問題を解決するために注目されているのが、介護負担を軽減する介護施設向けの「見守りシステム」です。ICTやIOT、AIを活用した最新の見守りシステムがこれからの介護環境を変えてゆきます。

介護と見守り、進化した「見守りシステム」とは?

これまでの見守りの問題点

これまでは、呼び出しボタンや呼び出しセンサー等を利用して、何か合った際にスタッフに通報するだけのシステムが一般的でした。
例えば徘徊の危険性がある場合には、出入口付近にマットセンサー等のセンサーを設置して、問題があった場合に通知するなどの方法です。しかし…

  1. 呼び出しがあった後に訪室するため、間に合わない。
  2. 事故時にその場にいないため、実際に何があったのかがわからない。
  3. 複数の呼び出しがあった際に、緊急度や優先順位の判断が難しい。

これまでの見守りのやり方では、上記のような問題を抱えていました。
問題を解決するには、「入居者ひとり一人の状態に、スタッフが常に目を光らせておく」必要があります。しかし過度な見守りは入居者のストレスとなる上、業務多忙なスタッフが行うことは現実的に不可能です。その結果、今までの見守りのやり方では、入居者・スタッフ双方の負担となっていました。

人に代わって見守る「見守りシステム」

そこで、これまでの見守りの仕方の問題を解決するべく誕生したのが、ICT・IOT・AIなどのロボット技術を活用した「見守りシステム」です。
見守りシステムは見守り支援機器という形で、「センサーや外部通信機能を備えたロボット技術を用いた機器のプラットフォーム」として、厚生労働省・経済産業省から指針が示されています。

見守り支援機器の定義

  1. 昼夜問わず使用できる
  2. 複数の入居者を同時に見守ることができる
  3. 入居者が自発的に助けを求める行動(ボタンを押す、声を出す等 )から得る情報だけに依存しない
…などのいくつかの指針が挙げられています。

【参考】第4章 見守り支援機器(介護施設) – 厚生労働省 [PDF]

上記の指針に基づいた見守りシステムは、ロボット技術を用いてスタッフに代わって入居者の状態を見守るとことができます。これまで介護施設でスタッフが行っていた見守りを見守りシステムで行うことが、これまでの見守りの問題点を解決するポイントと言えるでしょう。

一歩進んだ介護を実現する最新の見守りシステム



見守りシステムがセンサーから得る情報としては、たとえば「睡眠」「心拍・呼吸数」などの生体情報や、「温度・湿度・照度」などの環境情報、「離床や徘徊」などの行動情報が挙げられます。センサーから得た情報を通報するだけでなく、入居者の状態の変化を24時間365日・常時把握し、異常の有無を判断することができます。そして、異常があった時はすぐに通報します。

蓄積データを利用した見守り

また介護施設向けの見守りシステムでは、センサーから得た情報を蓄積し、週ごと、月ごと、年ごとに集計することで、健康状態の管理にも活用できます。見守りシステムによって温度管理を自動で行うことで、夏にエアコンを使用せず室内が高温になるなどの熱中症対策ができたり、入眠時間や起床時間の変化を見て体調管理に役立てることもできます。

このように介護施設で見守りシステムを利用すれば、見守りシステムによって取得した見守りデータを基に、問題発生時の原因・背景を読み取ることができます。原因や背景が分かれば、今後起こり得る問題に合わせて対策を講じるという、一歩進んだ介護が実現します。

これからの介護施設に必要な見守りシステム

入居者の状態を常時把握し、呼び出しが発生する都度対応することだけが見守りではありません。見守りの真意は、呼び出しが発生した時の状況を分析・蓄積されたデータを活用することで、現状のケアのプロセスや内容を見直して、より質の高いケアを効果的・効率的に提供することにあります。

・ケアの優先順位や緊急度を判断して対応できるようになる。
・入居者が都合がいいタイミングに配慮してケアできるようになる。
・データの履歴を活用することで転倒の原因を把握して、防止策を立案できるようになる。

…このように、入居者のQOL(生活の質)を向上し、介護を円滑化すること。これこそがこれからの介護(介護施設)で必要とされる見守りの目的と言えるでしょう。

見守りシステムのまとめ

介護の質と効率、どちらも向上する

冒頭でも述べた通り、介護度の重い方や見守りの必要な高齢者は年々増加しており、各施設でも介護度の高い入居者への対応に迫られています。
一方で人手不足が慢性化している介護現場では、新たな負担をスタッフにかけるのも難しいのが現状です。そこで、人に変わってケアを実現できる”ICT”や”AI”などを活用した新しいシステムが登場しています。
最新の見守りシステムはスタッフの代わりに常に入居者を見守りますので、スタッフに新たな業務負担をかけることなく、介護サービスの向上を実現します。

これからの介護施設の強みになる

安全面と効率面両方を実現する最新の見守りシステムは、今後の介護施設運営にかかせない設備となってくるでしょう。特に、介護付き有料老人ホームや特別養護老人ホーム等の要介護度の高い入居者が多い施設では、必須のシステムといえます。
入居者一人ひとりに寄り添い、安心を提供することができる最新の介護施設向け見守りシステムは、導入していない施設との格差を生み出し、導入している施設にとっては大きな強みとなると考えます。



参考資料

※出展:厚生労働省【介護ロボット重点分野別 講師養成テキスト(PDF)】より加筆修正して引用