熱中症対策

連日の猛暑、高齢者の熱中症対策は大丈夫?(介護施設編)

暑い日が続く中、気をつけなくてはいけないのが熱中症。特に7月、8月は熱中症のピークと言われ毎年救急搬送される人が絶えずいるのが現状です。その中でも特に多いのが高齢者の方。外出しなくても熱中症は室内で起こす可能性があり、さらに自分では気付きづらいことから、知らぬうちに熱中症を引き起こしてしまうという危険があります。
今回は熱中症の危険性と介護施設としての対策についてお話しします。

熱中症の危険性と気をつけるべきこと

まず熱中症に関するH29年の統計※1をみてみましょう。熱中症の年齢別割合は乳幼児が0.9%、少年が14.5%、成人が35.6%、高齢者が48.9%と高齢者が半数近くを占めています。そして熱中症により重症になった方は1,096人、死亡は48人います。
このように熱中症は最悪死亡にまでつながるのでしっかりとした対策が必要です。また熱中症から他の病気を併発させてしまう危険性もあります。詳しくみてみましょう。

熱中症による救急搬送状況

熱中症は水分不足の警告。脳卒中、心筋梗塞を引き起こす場合も

熱中症の主な原因は水分不足。体内の水分が減ってしまうことで体の調整が効かなくなり熱中症になります。特に高齢者の方は水分不足により体の血液がドロドロになり、脳卒中や心筋梗塞のリスクを高めます。

熱中症の症状

熱中症には3段階の症状※2があり重症度が変わります。それぞれ段階により変わり『Ⅰ度は現場で対処できる症状』、『Ⅱ度は病院へ搬送が必要な症状』、『Ⅲ度は入院して集中治療が必要な症状』になります。
Ⅰ度の主な症状はめまい・失神、筋肉痛・筋肉の硬直、手足のしびれ・気分の不快になります。Ⅱ度の症状は頭痛・吐き気・嘔吐・倦怠感・虚脱感です。Ⅲ度の症状はⅡ度の症状に加え意識障害・けいれん・手足の運動障害、高体温、肝機能異常、腎機能障害、血液凝固障害があります。詳しくは下記表を御覧ください。

熱中症の症状と重症度

気をつけるべき時間帯と暑さ指数

熱中症にならないために気をつけなくてはならないのが時間帯と暑さ指数です。まず熱中症になりやすい時間帯をみてみましょう。
高齢者が熱中症になりやすい時間帯は、10時~13時が最も多いという統計※3があります。理由として朝食後からお昼までの飲水量の不足や午前中にエアコンをつけないなどの推測があります。この統計から午前中を特に気をつけて見ることが大事なのがわかります。
次に暑さ指数ですが、まずは下記サイトを見てください。

このサイトは全国の熱中症が起こりやすくなっている地域を表示してくれるものです。暑さ指数が高くなっている地域は、いつもより警戒して過ごす必要があります。

※暑さ指数(WBGT(湿球黒球温度):Wet Bulb Globe Temperature)とは、熱中症を予防することを目的として指標されたものです。主に①湿度、 ②日射・輻射(ふくしゃ)など周辺の熱環境、 ③気温の3つを取り入れた指標になります。

このように熱中症になりやすい地域、時間帯を気をつけながら過ごすことが大事です。では実際にどのようなことを注意していけばいいのでしょうか。対策について述べます。

介護施設でできる熱中症対策

介護施設として入居者に対しどのようなことを気をつけたらいいのでしょうか。3つの項目に分けて解説します。

こまめな水分・塩分補給

まず大事なことはこまめな水分・塩分補給です。特に高齢者は水分補給を忘れがちになりやすいので、定期的な時間にスポーツドリンクなどの水分をとるよう催促する必要があります。【朝、目覚めてすぐに】、【2時間置きに】、【夜寝る前に】などルールを決めて水分、塩分の補給をしましょう。

水分補給

外出時は帽子か日傘

直射日光に当たってしまうと体温が上昇し、それを防ぐために汗として体の水分が減少します。また熱による疲労も起こりとても危険な状態になりやすいため、日光を防ぐ必要性があります。一番手軽に行える対処は帽子と日傘です。両手を使うような外出の場合は帽子を、それ以外はできる限り日傘を持たせるようにして外出させましょう。
さらに冷却グッズを高齢者に使ってもらうことで、より安全に外で活動をすることができます。とはいえあまりに暑い中の外出はやはり危険なので、暑さ指数を確認し11時~16時までの時間は避けたほうが無難でしょう。

日傘と帽子

室内温度管理

高齢者は冷房を入れたがらない人もあり、知らぬ間に熱中症になっていたというケースがあります。自己判断での室内温度管理はリスクがあり、施設として居室の温度管理をおこなったほうがより安全な環境を提供することができます。
そこで最近着目されているのが室内の温度、湿度をセンサーチェックして環境管理をおこなえるシステムです。室内の温度が適正温度を超えた場合、職員に通知することができるので室内での熱中症対策に有効です。詳しいシステムは下記URLをみてください

エアコン
見守り型ナースコール(24時間365日見守り・看取り介護)
介護向け見守りシステムで、介護施設入居者の生活全般を総合的に見守ります。心拍数、呼吸数、温度、湿度、離床、徘徊等のセンサーが24時間365日見守るので、スタッフの業務を低減と精細な見守り対応が可能になります。

まとめ

熱中症は見守りが重要
高齢者に関して必要な対策を見てきましたがいかがでしょうか。
熱中症を防ぐ方法はこまめな水分・塩分補給や室内温度の管理などちょっとしたことが重要になります。しかし高齢者はつい大丈夫だろうと過信してしまうことが多いので職員による見守りが必要です。だからこそ介護施設の対策として、高齢者に対する声掛けや室内温度の適正管理などをおこない猛暑から高齢者を守りましょう。

最後に実際熱中症になってしまった方を見つけたら下記のような応急処置を施してみてください。
熱中症を起こしている方は、水分摂取と身体の熱を冷ますことが重要になります。身体を冷やすには水や濡れタオル(氷のう等があれば尚良)などで首、脇の下、太ももの付け根を重点的に冷やしましょう。意識がある場合は、すぐにスポーツドリンクなど塩分が入った飲料水を飲ませてください。

熱中症の応急処置

出典情報

※1 総務省消防庁:平成29年(5月から9月)の熱中症による救急搬送状況
※2 環境省:熱中症になったときには
※3 東京消防庁:高齢者の熱中症に注意!!