看護?介護?

看護と介護の違いって?看護師・介護士の違いは何?【徹底比較】

あなたは看護と介護の違いや、看護師と介護士の違いを説明できますか?
看護も介護もどちらもよく聞く単語ではありますが、意味合いとして”看護は怪我や病気をした方へ援助をすること”、”介護は高齢者や身体が不自由な方へ援助をすること”というように、アバウトなイメージを持っている方がほとんどではないでしょうか。
例えば介護施設の一つである「特養」では、看護師の常駐が必要です。こうした施設では「介護士」と「看護師」が共に働くこととなり、そういった介護の現場での看護と介護の違いも把握しておきたいところ。
そこで今回は、看護と介護の違いから看護師・介護士の違い、職種としての介護職と看護職の違いについてまで、ご紹介したいと思います。

介護と看護の違い

介護と看護
  看護 介護
意味 その人自身や家族、地域社会が最大限の健康を取り戻すこと。また、それが機能するように援助することを目的とした行動のこと 日常生活の援助や、その人らしい生活を尊重して支援していくこと
対象
  • 全ての年代
  • 全ての個人および家族、集団、コミュニティ
  • 健康状態の有無は問わず
  • 全ての年代(主に高齢者)
  • 全ての個人および家族、集団、コミュニティ
  • 身体に障害がある方
  • 病人
  • 日常生活支援が必要な方
支援 健康増進および疾病予防、病気や障害を有する人々あるいは死に臨む人々のケアが含まれる 入浴、排せつ、食事等の日常生活における基本的な動作の支援。QOL(人生の内容の質や社会的にみた生活の質)を向上させる

※出典:日本看護協会
※出典:ウィキペディア

介護と看護は、大まかに比較すると上記のようになります。
広く見ると介護が「生活支援中心」であるのに対し、看護は「医療・治療のサポート」が含まれるところに違いがあります。また看護の中には、介護と同様の支援(入浴や排せつ、食事等の支援)も含まれているため、「看護のひとつとして介護がある」という見方もあります。


看護師と介護士の違い

看護師と介護士
  看護師 介護士
概要 疾病者や褥婦(じょくふ=出産後の女性)などの療養上の世話、または診療の補助などをすることを業とする人のことである。
正規の呼び方は2001年の法改正により看護師の名称に統一。もともとは女性が看護婦、男性が看護士と呼ばれていた。
身体上、または精神上に障害がある方や要介護が必要な高齢者など日常生活をおくることが困難な人に対し、入浴や排せつ、食事等の介護に関わる支援や指導を専門的な知識、技術を持っておこなう人。介護士は介護職員全般で指すことが多いですが、介護福祉士の略にも使われます。
主な
仕事
医師が患者へ診察、治療をする際のサポート、また患者に対してのケアをおこなう。
具体的な内容としては、体温、血圧、脈などの測定、注射や点滴、採血などの治療の補助、その他お風呂や食事、病室のベッド管理など身のまわりの世話をします。
介護者の入浴や排せつ、着替え、食事など身の回りの援助と共に話し相手として相談や世間話などメンタルケアをおこなうのが重要。
また介護の指導、助言を本人やご家族へおこない、介護の環境づくりもします。
国家
資格
看護師国家試験
保健師助産師看護師法により規定
介護福祉士国家試験
社会福祉士及び介護福祉士法により規定
きまって支給する現金給与額※1 328,400円 218,900円※2
平均
年齢
38.0歳 38.7歳※2
勤続
年数
7.4年 5.5年※2

※1 きまって支給する現金給与額とは、手取りの金額ではなく調査期間中に支払われた現金給与額のこと。基本給、職務手当、精皆勤手当、家族手当が含まれるほか、時間外勤務、休日出勤等超過労働給与も含む。また賞与その他の臨時の給与及び現物給与は含めていない。
※2 福祉施設介護員の数値を記入

※出典 厚生労働省:常勤労働者の男女比、平均年齢、勤続年数及び平均賃金

看護師と介護士の国家資格の違い

看護師として働くには医療分野の国家資格「看護師国家試験」への合格が必要で、看護師資格を取得しなければ看護師として従事できません。
一方で介護士として働くには資格は必ずしも必要ではありませんが、専門知識と技術を持った介護士の国家資格として「介護福祉士国家試験」があります。この試験に合格すると介護福祉士(ケアワーカー)となり、よりプロフェッショナルな「国家資格保有者」として扱われます。

介護士にできて看護師にできないことや、その逆はある?

看護師は、要介護者のケアなど介護士の仕事に対応できます。逆に、注射などの医療行為を介護士が行うことはできません。
体温測定・血圧測定などのバイタルチェックは、介護士・看護師ともに対応できます。


看護職と介護職の違い

看護職と介護職
  看護職 介護職
職員の
種類
看護師
准看護師
助産師
保健師
介護福祉士
ホームヘルパー
ケアマネジャー
看護師
主な
働き
場所
施設 人数 割合 施設 人数 割合
病院 944,640人 61% 入所系※3 83,6000人 49.6%
診療所 320,800人 21% 通所系※4 32,0000人 19.0%
助産所 1,850人 0% 訪問系※5 48,5000人 28.7%
訪問看護ステーション 33,649人 2% 小規模多機能型居宅介護など 4.5000人 2.7%
介護施設等 151,102人 10%  
学校等 29,491人 2%  
その他 12,027人 1%  
保健所 8,857人 1%  
市町村 35,397人 2%  
合計:1,537,813人※1 合計:168,6000人※2

※1 平成24年度に調査した数値
※2 調査方法の変更等による回収率変動の影響を受けていることから、厚生労働省(社会・援護局)にて補正した平成24年度のもの。
※3 利用者が施設へ入所し支援を受けるサービス。特養や有料老人ホーム、老健などがある。
※4 利用者が施設まで通い支援を受けるサービス。基本的に日帰り。デイサービスやデイケアなどがある。
※5 自宅まで介護職員に来てもらい支援をしてもらうサービス。訪問看護や訪問リハビリステーションなどがある。

※出典 厚生労働省:看護職員の就業場所
※出典 厚生労働省:介護保険制度施行以降の介護職員数の推移

看護職は大きく分けて4つ。さらにそこから細かく種類が細分化されます。
介護職は幅広く種類があり、その中には看護師も入っています。その他、相談員や薬剤師、栄養士など介護に関わる職種が全て入ってきます。


まとめ

介護と看護に関する、様々な比較を見てどうでしたか?”看護と介護”は似た部分もありますが、意味や役割が違うことが把握できたでしょうか。
最後にもう一つだけ、「看護と介護」という言葉で違いがあることをご紹介します。それは、「休み」に関することです。
国が定める制度で、”看護休暇”と”介護休業”があるのはご存知ですか?この言葉についても似たようなイメージを抱きますが、明確に内容が異なるので注意が必要です。

▼子の看護休暇制度(法第16条の2、第16条の3)
 小学校就学前の子を養育する労働者は、申し出ることにより、1年に5日まで、病気・けがをした子の看護のために、休暇を取得することができます。
▼介護休業制度 (法第11条~第15条)
 労働者は、申し出ることにより、要介護状態にある対象家族1人につき、常時介護を必要とする状態ごとに1回の介護休業をすることができます(一定の範囲の期間雇用者も対象となります)。期間は通算して(のべ)93日までです。
※出典 厚生労働省:育児・介護休業法のあらまし

看護休暇と介護休業では、内容がだいぶ異なりますね。このように、制度の場合は看護と介護で支援する対象者が変わってきます。ぜひ参考にしてみてください。