麻疹

麻疹が大流行?予防接種が少ない年代の介護職員こそ要注意!

ウイルス性の感染症で、高熱や発疹が出る「はしか(麻疹)」の患者が、沖縄についで愛知県内で相次いで確認されたとのこと。はしかは感染力が強く、患者と同じ空間にいただけでも感染すると言われています。ここでは流行中の麻疹について、介護施設での影響と対策を考えていきたいと思います。

麻疹(はしか)とは?

麻疹(はしか)流行の理由

沖縄県を中心に、現在流行をみせている麻疹(はしか)。
感染経路としては空気感染のほか、飛沫や接触感染など様々な経路で、感染の危険性があります。
また、感染力はきわめて強く、その感染力はインフルエンザの10倍とも言われています。
これを基本再生産数(その感染症に免疫を持たない集団において、1人の感染者が感染させる平均人数)で算出すると、麻疹の免疫がない集団に1人の発症者がいたとすると、16~21人の人が感染してしまうということになります。(インフルエンザでは2人~3人)

麻疹(はしか)に感染するとどうなるの?

麻疹にかかると、発熱と全身の発しん、咳や鼻水などの風邪のような症状、目の充血などの粘膜症状が現れます。
感染後約10~12日間の潜伏期間の後に、38℃程度の発熱やかぜ症状がまず出ます。
その後2~4日発熱が続いたあと、39℃以上の高熱とともに発しんが出現します。
全身の免疫力が低下するため、肺炎・中耳炎などの合併症や、脳炎を発症することもあり、十分な注意が必要になります。また、1000人に一人の確率で死亡することもあるとのこと。

大人になってからかかると大変ってホント?

これは、予防接種をせずに麻疹にかからないで大人になって初めて麻疹に感染すると、重症化しやすくなるとのこと。実際に、麻疹による死亡率が高いのは「5歳未満の乳幼児」と「30歳以上の大人」だそうです。

介護施設においては職員こそ麻疹(はしか)に注意?!その理由とは

麻疹(はしか)で注意が必要な年代にあてはまる?!

実は麻疹の感染は、小児の麻疹感染(15歳未満)を除くと、40歳以下の働く若年層世代が最も感染の危険性が高いと言えます。
国立感染症研究所の資料※1を見ると、たとえば2011年の統計では、麻疹の感染者は15~39歳の若年層世代が半数近くを占めています。逆に、高齢者(50歳以上の全ての人)は全体の5%もいません。

このことから、施設においては20代~30代くらいの介護職員が、最も注意すべき年代と言えるでしょう。介護施設で考えると、利用者(高齢者)よりも実は介護者(職員)の方が、感染の危険性が高いのです。

20~30代の職員が麻疹(はしか)に感染しやすい理由

ワクチン接種が十分でないから

それはワクチンの定期接種が行われたが、十分に行き届いない世代だからと言えます。この年代は当時の国の方針で、一度しかワクチンを受ける機会がなく、その一度の接種ですら、受けていない人もいるそうです。
はしかは2回の予防接種を受けることで、全ての人に免疫がつくと言われています。
一度も受けてない場合が最も問題と言えますが、年齢を重ねるごとに抗体が弱ってくるケースもあるので、やはり2回の接種が望ましいと言えるでしょう。

施設の外部で、他者と触れ合う機会が多いから

また、利用者は基本的に施設内で生活しますが、職員はプライベートで様々なところに行く機会があります。
海外などに渡航する際や、国内でも麻疹の流行地に行く場合は、はしかの感染の危険性が上がります。そのため、行動範囲が広い職員は、感染するリスクが上がると言えます。

じゃあ、高齢者は平気なの?

「麻疹で注意が必要な年代」で前述した通り、高齢者の感染率は低い傾向にあります。
その理由として、若年層とは逆に、1977年4月1日以前に生まれた世代は予防接種が任意接種でした。そのため、小児のうちに麻しんに自然感染するのが一般的でした。なので、自然と免疫を獲得している場合が多い、との情報が厚生労働省などにあります。※2
このことから、施設に入居している高齢者への感染の可能性は少なくとも職員よりは低く、あまり問題無いと言えるでしょう。

職員の麻疹(はしか)予防は?もしかかってしまったら?

では、職員の麻疹予防や対処として、どんなことを行えばいいのでしょうか?

予防策として

予防接種と抗体検査をまず受ける

麻疹の感染を予防するには、予防接種により抗体を持つしかありません。
スタッフの対処として、もしこれまで罹患したことがなく、予防接種も受けていない場合は、必ず接種を受けさせましょう。
また、感染歴やワクチン接種歴があっても、抗体検査で抗体価の状況を確認しておくとよいでしょう。

規則正しい生活と休息を取らせる

抗体検査や予防接種など、具体的な対策は重要です。それに加えて基本的な対策として重要なのは、規則正しい生活と十分な休息です。
不摂生や過労は、免疫力の低下を引き起こします。これらは、感染症の発病・重症化に繋がります。感染症にかかりにくい身体にするために、職員にとって無理ない勤務を組むようにしましょう。

対処策として

麻疹に特効薬はありません。かかってしまったら、麻疹の症状を和らげながら回復を待つしかありません。
また、周囲に感染させる期間は、症状が出現する1日前(発しん出現の3~5日前)から発しん消失後4日くらいまで(または解熱後3日)くらいと言われており、医師に判断を仰ぐ必要があります。
そのため、本人の状態にもよりますが完治するまで2週間ほどかかることもあります。職員が感染した場合は、長期で休ませなければなりません。

まとめ

麻疹(はしか)は職員の対策を第一、でも高齢者の健康管理は必須

今回は、職員スタッフへの感染対策を中心にまとめました。文中で述べように、高齢者は麻疹にかかりにくいと言えます。
しかし、もちろん中には抗体を持っていない方もいると思いますので、高齢者への感染の可能性もゼロではありません。さらに、他の感染症と同様に高齢者が発症した場合は重症化するケースが多いため、日頃の健康管理が重要です。

高齢者の健康管理に活躍する見守りナースコール

最後に、高齢者の健康管理について。利用者の健康管理・健康状態の把握については「予防・未病」として、介護業界でとても注目されている分野です。
この健康管理に有効的だと言われているのが、定期的なバイタルサイン測定です。
バイタルサイン測定とは、心拍・呼吸数など、利用者の生体情報を測ることです。
弊社では、利用者のバイタル測定から管理までできる「見守りナースコール」を取り扱っております。よろしければお気軽にご相談ください。

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介護向け見守りシステムで、介護施設入居者の生活全般を総合的に見守ります。心拍数、呼吸数、温度、湿度、離床、徘徊等のセンサーが24時間365日見守るので、スタッフの業務を低減と精細な見守り対応が可能になります。

参考資料

※1:【国立感染症研究所】麻疹 2011年「感染症発生動向調査」
※2:【厚生労働省】麻疹(はしか)に関するQ&A「なぜ今年、10代から20代の人を中心に流行したのですか?」