介護施設を終の住処に。看取り介護の需要とは
介護施設による看取りまで視野に入れた介護は、高齢者の増加に比例し要望が高まっています。現在でも看取りまでおこなう介護施設は多く、今後介護施設を終の住処として選ぶ入居者が増えていくと考えられます。
また2018年の介護報酬の改定に伴い、以前からあった報酬がさらに増え、施設にとって看取り介護対応へのメリットも出てきます。ここではそんな介護施設の看取りについてまとめましたので、一読してみてください。
目次
高齢者の増加に伴い介護施設の看取り需要が高まる
高齢化社会と言われる昨今、年間死亡数は年々増加しており国の出す推計では高齢者がピークになる2040年に最も死亡数が出る※1と公表されています。現在は病院で高齢者の看取りをすることが主になっていますが、今後は介護施設での対応も求められていくでしょう。
ではまず高齢化社会の実情と病院でおこなう看取りとの違い、看取り介護の需要についてお話します。
70歳以上の高齢者が2025年には529万人増
厚生労働省の出した今後増えるだろう70歳以上の高齢者は2016年と比べ2025年には529万人増えると推測※2をたてています。細かく見ていくと2016年の70歳人口は2432万人、2025年になると2961万人まで膨れ上がる推計です。
高齢者が増えればそれだけ需要が高まるのが看取り。介護施設における看取りを希望する家族は、特養で46.6%、老人保健施設で18.4%、介護療養病床(※2017年に廃止)で75.4%の割合※1で考えているという統計が出ています。
この結果から分かるように終末医療に近い状態の高齢者を受入れている施設程、病院などの医療機関に入れずそのまま看取って欲しいという希望があることが分かりました。ではそもそも看取り介護とはどういったものなのか、病院で看取ることと何が違うのかをみてみましょう。
看取り介護とは
『看取り』とは近い将来、死が避けられないとされた人に対し、身体的苦痛や精神的苦痛を緩和・軽減するとともに、人生の最期まで尊厳ある生活を支援すること。公益社団法人 全国老人福祉施設協議会より引用:http://www.roushikyo.or.jp/contents/
全国老施協「看取り介護実践フォーラム」(平成25 年度)より
介護施設でおこなわれる看取り介護とは、”終身介護を視野に入れ経過に応じた介護の考え方をすること”、”医師や医療機関との連携体制をしっかりと組み緊急時の対応に備えること”、”入居者へ情報提供と共に資料及び同意書の書式作成、意思確認をすること”また”入居者だけでなくそのご家族に対して心理的に支援をすること”です。
病院の看取りと違い問題が起こった際、延命処置が遅れてしまう難点があります。しかし親しみ慣れた施設内でできる限り過ごしたいという要望により、介護施設での看取りを希望する人もいます。
現在の介護施設による看取りの状況
介護施設で看取りをおこなっている施設はでは介護老人福祉施設72.9%、介護老人保健施設で61.8%にも及んでいます。またどちらの施設でも今はおこなっていないが今後条件が合えば検討をすると応えた数値が15%以上※3あり看取りに対して前向きな施設が多いことが伺えます。
国からも求められている介護施設による看取り
2006年度の介護報酬改定において看取り介護が創設され、以降2009年、2012年、2015年と報酬の改定がおこなわれてきました。そして今年、2018年度の介護報酬改定でも看取り介護の改定がおこなわれ、報酬の単位や内容が変更されます。ここでは今年度変更された看取り介護の介護報酬について記述します。
介護報酬の改定による新規看取り項目の追加
介護老人福祉施設※4
- 複数の医師を配置するなどの体制を整備した特養について、配置医師が施設の求めに応じ、早朝・夜間又は深夜に施設を訪問し入所者の診療を行った場合を新たに評価する。
配置医師緊急時対応加算【新設】
650単位/回(早朝・夜間の場合)
1300単位/回(深夜の場合) - 看取り介護加算について、上記の配置医師緊急時対応加算の算定に係る体制を整備し、さらに施設内で実際に看取った場合、より手厚く評価する。
看取り介護加算(I)
▼死亡日以前4日以上30日以下 144単位/日
▼死亡日の前日又は前々日 680単位/日
▼死亡日 1280単位/日
看取り介護加算(II)【新設】
▼死亡日以前4日以上30日以下 144単位/日
▼死亡日の前日又は前々日 780単位/日
▼死亡日 1580単位/日
安心のある終の住処を実現するために。看取りに役立つシステム
ハンディナースがそのままオンコール用の端末に
看取り体制の整備の中に”看護職員と24時間連絡できる体制の確保”、”介護職員(看護職員不在時の対応の周知)連携体制の整備”、”夜間や緊急時の救急搬送連絡体制”などがあります。このように何か起こった際早急に連絡をいれる必要性が看取りには必要です。
特に夜勤時は注意が必要で、如何に早く連絡を取り合うかが決め手になります。そこでオススメなのが外線発信までおこなえるハンディナースです。入居者からの呼出しを受けるハンディ端末でそのまま外線発信ができるので入居者の状態を確認後すぐにハンディ端末から緊急連絡をおこなうことができます。
入居者のバイタルチェックで容態変化をチェック
終身介護の現場では、入居者の状態を確認するために、夜間でも定期的に巡回する必要があります。それは、スタッフの業務負担となるだけでなく、入居者にとっても睡眠を妨害されるなど負担がかかってしまいます。
そこでオススメなのがバイタルチェックを中心とした見守りシステムです。センサーがバイタルサイン(心拍・呼吸)を常時チェックするので、様態確認のための巡回を抑えることができます。巡回をゼロにすることはできなくとも、頻度を減らすことでスタッフの業務負担軽減とともに、入居者の負担も軽減することができます。
また、急な容態の変化が起こった際、ナースコールボタンを押せなくても脈拍や呼吸数の乱れから介護スタッフに異常を通知するようにできるので、緊急時の対応もすばやく行うことができます。
まとめ
介護スタッフの負担を軽減させる対策を看取りは今後介護施設として外せないサービスのひとつとなり、介護スタッフにも看取りをおこなえるよう負担をかけなければいけないのが現状です。しかし今の介護業界は人手不足によるスタッフの負担が課題となっています。だからこそ設備を整え介護スタッフの負担を軽減させつつ入居者の看取りをおこなってはいかがでしょうか。
弊社ではバイタルセンサー、外線発信ができるハンディナースを取り扱っております。ぜひ一読してください。
新型ナースコール「Yuiコール」
出典
※1 厚生労働省:【テーマ1】看取り 参考資料※2 内閣府:高齢化の状況
※3 厚生労働省:介護サービス事業所における医療職の勤務実態および医療・看護の提供実態に関する横断的な調査(速報版)
※4 厚生労働省:平成30年度介護報酬改定の主な事項について