オーラルフレイルから高齢者を守る!正しい口腔ケアについて
皆さんは、「フレイル」という言葉を聞いたことがありますか?
フレイルとは、健常から要介護へ移行する中間の、衰え全般が発生していく段階と言われています。オーラルフレイルとは、そのフレイルの中でも「口」に関わる衰えのことを意味します。
今回はそんなオーラルフレイルと、オーラルフレイルを予防するための口腔ケアについて見ていきたいと思います。
目次
オーラルフレイルについて
オーラルフレイルは、冒頭で述べたように「口」に関する衰えのことです。
喋る時の滑舌の低下、食事の際に噛めない食品が増える・食べこぼしやむせが起きる、口が乾燥する、などの些細な症状から始まります。
オーラルフレイルの有病率
こちらは、厚生労働省の自立高齢者2044名に聞いたオーラルフレイルの有病率の資料※1となります。
85歳以上では、約半数弱の方が有病していることになります。また、オーラルフレイルの有病率は、高齢になるほど高まっていくことがわかります。
オーラルフレイルが怖い理由
オーラルフレイルで食べ物を噛む力や舌の動きが悪くなり、うまく噛めない食べ物が増えると、十分な栄養が摂れなくなります。また、滑舌が悪くなったり、話しにくくなることで、人との交流を避けるようになります。その結果、活動量が減り、家に閉じこもりがちな生活を送るようになっていきます。
オーラルフレイルによって、栄養不足・生きがいの喪失・筋力の低下という、要介護を招く負の連鎖になっていく危険性があるのです。
高齢者の心身全体の衰えを防ぐためには、オーラルフレイルの予防を行うことが必要なのです。
オーラルフレイルの予防方法
オーラルフレイルの多くは、『うまく噛めない、咀嚼ができない』という悩みから始まります。
口の中の食べ物を飲み込む嚥下機能や、舌や唇を動かす力やスピードといった口腔機能の低下によって生じる問題です。そのため、適切な口腔ケアを行うことが、オーラルフレイルの予防に繋がります。
正しい口腔ケアとは?
オーラルフレイルを防ぐためには、適切な口腔ケアが大切です。
そこで続いては、オーラルフレイルを防ぐために必要な「正しい口腔ケア」について見ていきましょう。
高齢期の口腔ケア2つのポイント
【1】口腔内(歯)を清潔に保つこと
口腔内を清潔に保つことは、口腔ケアにおいて重要なことです。自分に合った歯ブラシ・歯間ブラシ・スポンジブラシなどを使用し、すみずみまできれいに磨きましょう。
口腔内を清潔に保つことは、肺炎予防にも役立ちます。
入れ歯の場合は?
入れ歯の場合は、入れ歯を清潔に保つことも大切です。他の歯をむし歯や歯周病から守り、口の中の病原菌の繁殖を抑えて全身の健康を守る事にも繋がります。毎食後に洗浄するのが理想的ですが、無理な時は就寝前に丁寧に洗いましょう。
【2】加齢で衰える口腔機能の維持・向上
口腔機能についても、対策が必要です。それには、噛む力や飲み込む力をつける対策が有効です。顔面や口をよく動かすように栄養のバランスのとれた食事を、しっかり噛んで食べることが日常的に大切でしょう。
入れ歯が有効
歯を失ってしまったときは、歯科で入れ歯を作ってもらう事が大切です。噛み合わせがよいこと、しっかり噛めることが、認知症予防に効果的なことが分かっています。
食べる力を鍛える体操
必要に応じて、口腔能力を鍛える体操などを行うのもいいかもしれません。
ここでは、静岡県※2が紹介している「オーラル・フレイル予防のための体操」をご紹介致します。
かむ力・飲み込む力をつける体操
- 口を閉じたまま、ほおを膨らませたり、すぼませたりする。
- 口を大きく開けて、舌を出したり引っ込めたりする。
- 舌を出して、上下・左右に動かす。
- 口を閉じて、口の中で舌を上下・左右に動かす。
飲み込む力を高める「頭上げ」体操
- 食道の入り口を広げ、飲み込むためののどの筋力を強化します。あお向けに寝て、頭だけを持ち上げて、足の親指を見る。
- この状態を30秒間続ける。
- これを3回繰り返す。
まとめ
いかがだったでしょうか。
高齢者の有病率が高い「オーラルフレイル」は、要介護の要因となりえることがわかりました。また、オーラルフレイルに羅患する要因は、口に関する様々な問題であることもわかりました。そしてなにより、最適な対策をすることで、オーラルフレイルは予防できるとわかりました。まだまだオーラルフレイルについて知らない高齢者が多いと思いますので、認知度を高めて予防対策していけたらと考えます。
出典・参考資料
- (※1)厚生労働省: フレイル予防を通した健康長寿のまちづくり[PDF]
- (※2)静岡県:“オーラル・フレイル”の予防~高齢期の歯と口の健康~