読むだけで分かる、ナースコールの仕組み・種類・使い方!
介護施設の開業にはナースコール設備が必要です。
そもそも特別養護老人ホーム(特養)などの重度な介護施設へは、設備構造基準として設置の必要があり、各種介護施設へのナースコール設置も老人福祉法として各自治体で定められている場合もあります。
そんなナースコールのシステムは目には見えず、よくわからない人もいるでしょう。
ナースコールと言えば、ベッドの横にちょこんと置いてあるボタンを思い出す人がほとんどだと思います。でも、あれはあくまでも緊急押しボタンであって、ナースコールのほんの一部に過ぎません。
そこで、ここでは介護施設に必要なナースコールについて”そもそも基本的な使い方は?”、”どういう種類があるの?”、”仕組みは?”などなど基本的な知識についてお話しします。
目次
そもそもナースコールってどういう物を指すの?
ナースコールとは、病院や介護保険施設などに設置されており、看護師や介護士などを呼び出す装置。 患者や要介護者が緊急時に呼び出すものとされているが、緊急時以外でなんらかの介助を要する際にも用いられる。
ナースコールを簡単にまとめると上記のようなもののことを指します。ではさらに詳しくナースコールについて話しましょう。
ナースコールって押すとどうなるの?【ナースコールの使い方】
この5つが基本動作になります。ちなみに入居者の呼出しが重なってしまった場合どうなるのか、気になりますよね。ナースコールのメーカーや種類によって動きは異なりますが、大体下記のように応答します。
- ボード親機から優先度の高い入居者を選んで応答
- 担当介護士のハンディナースへ直接呼出しが振り分けられ応答。担当介護士が出れない場合は、別の介護士を呼出す。
- 親機、ハンディナースへ一斉に呼出し、誰かが着信を取った瞬間次の応答を順次表示させる。
▼ナースコールのボタンは色々種類があった!?使用者や用途によって設置ボタンを選べる。
https://heiwa-net.ne.jp/care-nursecall/knowledge/nursecall-button/
ナースコールって色々あるの?【ナースコールの種類】
ナースコールの主なメーカー
ケアコム
主に病院など大型の施設への導入が多いケアコム。1955年の創業以来、医療・福祉の分野で情報・通信システムの専門メーカーとして販売しており、ケアコムが手がけるナースコールは、信頼性が高く医療現場でも安心して使えるシステムです。その反面、費用が高く小規模施設での導入にはあまり適しているとはいえません。
アイホン
ケアコムに並ぶナースコールメーカーとして有名なアイホン。もともとはインターホンをメインに販売。60年余り通信機器を売ることで様々な技術やコミュニケーションを培い、それらを元に新たな商品を開発しました。今ではナースコールも高いシェアで施設に導入されています。
費用面に関してナースコール単体で制御するシステムなので、別途ビジネスホンやPHSを購入しなければならず、費用が重なります。
電話設備系のメーカー
ビジネスホンをメイン制御として使用し、ナースコールシステムとして販売するビジネスホンメーカーがあります。主なメーカーはナカヨ、岩崎通信機など。
費用に関しては、ビジネスホンが制御装置になるので別途PHSやビジネスホンを用意する必要がなく安く導入できます。主に病院より介護施設への販売に特化した傾向があります。
第三のナースコール「Yuiコール」
電話設備を制御装置としながら、独自開発により複数の機器、システムとの連携を可能にしたのが「Yuiコール」です。
拡張性の高い設計と自社開発により機能やシステムを自由に組み合わせてシステムを構築できる自由設計のナースコールとして導入がすすんでいます。
Yuiコールに関して興味がある方は下記をご覧ください。
https://heiwa-net.ne.jp/nursecall/
その他にもパソコンとソフトウェアを使用した簡易的なナースコールなど多様なナースコールが登場しています。
基本制御システムから見たタイプ
ナースコールの制御装置としては主に次の3つがあります。
- ナースコール専用の制御装置
病院や大規模施設には有利だが、小規模施設では高コストになる傾向。 - パソコンを使用しソフトウェアで制御するシステム
柔軟性はあるが、基本の緊急呼出の通信部が弱い傾向。 - 電話設備の主装置を用いた装置
拡張性があり、呼出・通話への信頼も高い。規模としては小規模向けの傾向。
病院や大規模な施設、医療サービスが多い施設にはナースコール専用の制御装置が向いているといえるでしょう。中小規模では、簡易的であればパソコン系を、ある程度呼出しへの信頼度が必要であれば電話設備型がおすすめとなります。
配線有?無?ナースコールの接続種類
ナースコールの接続には有線、無線の2つの接続があります。基本的に有線の接続がほとんどですが、施設によって無線を採用しているところもあります。無線のメリットは居室内のどこからでも呼出しができ好きな所に緊急ボタンが置けること、設置工事の手間が軽減されることです。しかし無線は相互通話ができないうえ有線に比べ信頼度が低い問題点があります。
ナースコールの構造って?【ナースコールの仕組み】
基本制御システムから見たタイプとして3つの種類を紹介しましたが、ここではその主なタイプの仕組みについて解説します。
ナースコール専用システムでの仕組み
メイン制御としてナースコールの制御装置が置かれている。ビジネスホンやハンディナースは外部機器を連携させ動作させる。
電話設備を用いたナースコールシステムの仕組み
ビジネスホンが制御装置になり呼出し端末が接続されているシステム。ハンディナースも標準で付き別のシステムとの連携も可能になります。
ソフトウェア、受信親機を使った仕組み
主に無線機器での設置が多いシステム。無線子機を呼出ボタンとして使用し、受信親機から制御装置へ信号を送ることでパソコンやスマートフォンへ呼出しを表示させます。
ナースコールはここまで便利に【最新のナースコール】
昔のナースコールはただ押しボタンで押し、介護士が駆けつけるという単純なものでした。しかし最新のナースコールは自動化が進み様々なシステムと連動して動くことでより利便性の高いナースコールになっています。ここではそんなナースコールを少しだけご紹介します。
いまやスマートフォンがハンディナースに
ハンディナースといったらPHSがほとんどですが、最近はスマートフォンと連携させハンディナース変わりにすることができます。これによりスマートフォンから介護記録記入や防犯カメラの閲覧、呼出しコールの受信まで一端末で様々な動作ができるようになります。
自動化により365日24時間見守りが可能
センサーの技術は進化が早く、一昔前ではただ人の動きや重みによって検知していただけのセンサーが、脈拍や呼吸数、心拍の感知や人の排泄時期を検知するなど状態だけでなく容態まで検知できるようになりました。これにより入居者からの自己呼出しがなくとも問題が起これば自動で発報がいくので、より安全な環境を提供できます。
まとめ
かつてナースコールは選択の幅が限られていました。文字通り病院向けのシステムだったため介護施設への導入ではオーバースペックになる傾向がありました。
しかし、最近では介護向け、小規模向けとうたったナースコールシステムも登場しています。また、介護記録ソフトとの連動やスマートフォン、防災設備との連動、そして見守りなど、今までにない独自の機能を持ったナースコールシステムもあります。
施設の用途や規模にあったナースコールを導入するために、さまざまなメーカーや機種を比較検討して、本当に必要なナースコールシステムをお探しください。