データヘルス改革

介護施設のICT化の重要性。国が推進するデータヘルス改革とは?

介護施設にICTの重要性が説かれ始めて数年、介護業務をより効率化させるため新しいシステムを導入した施設もあるでしょう。しかしまだ施設のICT化を躊躇している、そんな方もいるかもしれません。今回ここで紹介する話は、国として推進している”データヘルス改革”についてです。この改革は厚生労働省を主体に2017年から進められている計画です。データヘルス改革とはなにか、ICTを導入することがどうして重要なのかをお話ししたいと思います。

国が介護業界へICTを推進。今後重要になるデータヘルス改革とは

厚生労働省が発足させたデータヘルス改革推進本部の概要です。※1

 我が国のこれまでの健康・医療・介護の施策は、様々な縦割り構造の下、データが分散し、つながらない形で進められてきました。その結果、患者や国民が過去の健診データ や治療履歴を踏まえた最適な診断や治療を受けるためには、個人がデータ収集等を行う 必要があるなど、社会保障制度のメリットを十分実感できるものとはなっていませんでした。こうした状況を打開するため、国民や患者の意向に十分に配慮しつつ、データヘルスの推進を、これまでの「供給者目線」から、需要者である「国民、患者、利用者目線」に切り替えていかなくてはなりません。
 このため、現在、厚生労働省では「データヘルス改革推進本部」を立ち上げて、健康・ 医療・介護のデータの有機的な連結に向けた「 ICT インフラの抜本改革」や、「ゲノム解析やAI等の最先端技術の医療への導入」の具体化を始めています。これにより、 高い生産性の下、国民が、世界最高水準の質の保健医療サービスを受けられる環境を整備していきます。
 国民の健康確保のためのビッグデータ活用推進に関するデータヘルス改革推進計画・工程表は、保健医療データプラットフォームを活用するサービスの中で、国民の健康確保に向けた健康・医療・介護のビッグデータ活用に関する施策について、その具体的な活用方策、運用・管理の在り方等を、保険者を支援する立場にあり、また、膨大な保健医療データを取り扱う審査支払機関の役割を含めて、提示するものです。

簡単に言うなら今まで別々に蓄積していた健康・医療・介護のデータを共有できるようにし、新たな技術やサービスに役立てようというものです。

現段階で考えられている計画

現段階での工程※2としては様々な分野からデータベースを蓄積し、システムの整備や体制を整えているといったところです。本格的な始動は、2020年度を予定。それ以降は”保険医療データプラットフォーム稼働”、”保険者機能の強化”を充実させ、総合的なシステム構築を目指します。

データヘルス改革・工程

今後、ICT化を進める必要性

ではこのデータヘルス改革が介護施設にどう関わってくるのかという話ですが、現時点では明確なものは決まっていません。目指すべきものとして決まっていることは”地域包括ケアシステムの構築や効果的・効率的な医療介護提供体制の整備”、”医療・介護サービスの効果向上”と言ったことをデータヘルス分析をし、活用していくという点※3です。
ではなぜ今ICT化を進めるのか、ひとつは先の工程表にあった通り2020年に本格始動を開始するデータヘルス改革を推し進めるため。そしてもうひとつはICTによる介護施設の効率化を図るためです。ICT技術はデータを蓄積し他のデータと照らし合わせて活用するだけでなく、業務改善等にも役立てることができます。では詳しく見てみましょう。

介護施設としてどうICTを取り入れていくか

ますます高齢化が進む社会にとって、施設利用者の健康状態を少人数で把握する必要があります。そんなときに便利なのがICT。センサーを中心としたネットワークシステムが自動的に利用者の健康状態を記録するので、入居者への健康管理もスムーズになります。さらにデータとして蓄積することができるので、データヘルス改革の考え方とも合致します。ではどのような機器があるのでしょうか。ICTとして活用できるふたつのシステムをご紹介します。

見守りシステムの導入

見守りシステム

高齢者の健康状態をセンサーで自動で感知し、呼吸数や脈拍を常に記録します。問題が起こった場合スタッフへ通知が行くようにでき、危険な状態を逃さず効率的に見守れるのが利点です。
また見守りシステムは様々な周辺システムと連携ができるので、ナースコールの頻度、室内の温度、離床・端座位・寝返りなどの行動をすべてデータとして蓄積し、入居者の状況・状態を確認することができます。

弊社オススメシステムとしてベッドで見守れる見守りナースコールをご紹介します。
見守りナースコール(24時間365日見守り・看取り介護)
介護向け見守りシステムで、介護施設入居者の生活全般を総合的に見守ります。心拍数、呼吸数、温度、湿度、離床、徘徊等のセンサーが24時間365日見守るので、スタッフの業務を低減と精細な見守り対応が可能になります。

介護記録のICT化

介護記録

以前までは紙媒体で記録していた介護記録。今ではソフトを使用してデータとして記録を残していく施設が増えました。介護記録ソフトは、多くのメーカーが開発、販売を行っており、様々なシステムとの連携が可能です。
記録方法としては”タブレットなどの端末から直接記入し、パソコンと連動させるもの”や”項目用のバーコードを読み取り簡単に記録できるもの”などがあり、施設に合わせてより効率のいい記録方法を選ぶことができます。最新の技術としては、言葉を発するだけで介護記録を入力してくれるスマートスピーカーと連携したものもでる予定です。
このように記録方法をより効率化し、業務負担を減らせることが介護記録ソフトのメリットになります。

まとめ

データ利用でより良い施設運営を
今後推し進められるデータヘルス改革、まだ活用段階には至ってはいませんが、数年後には施設として対応を求められる可能性があります。平成30年度の予算案として、介護事業所におけるICT普及促進事業の予算は1.5億円※4をかけて実施するそうです。
このように国の政策としてICTを進めるということは、それだけ介護施設の業務改善・高齢者の健康維持に役立つと考えられているからです。データが重要視される未来を見据え、少しづつICTを導入してみることをオススメします。

出典情報

※1 「国民の健康確保のためのビッグデータ活用推進に関するデータヘルス改革推進計画・工程表」及び「支払基金業務効率化・高度化計画・工程表」について
※2 国民の健康確保のためのビッグデータ活用推進に関するデータヘルス改革推進計画・工程表
※3 データヘルス改革で実現するサービスと工程表について
※4 介護報酬改定について