高齢者の睡眠

高齢者の睡眠の特徴と不眠の原因とは?対策まで紹介!

高齢者の健康寿命を伸ばすため、様々な基準が新たに設けられている昨今。歯の健康や運動、食事による栄養バランスなど健康寿命を伸ばすためのジャンルは多岐に渡ります。その中でも今回は、睡眠の項目を深く掘り下げようと思います。
高齢者は睡眠不足になりがちな方と逆に寝すぎてしまう方がいます。どちらが健康リスクを高めてしまうかというと、睡眠が足りていない場合です。睡眠不足は、糖尿病や高血圧などの大病を招くリスクがあります。今回は、高齢者の平均的な睡眠時間などの特徴と、睡眠不足を解決する方法までをみていきましょう。

高齢者の睡眠の特徴~平均的な睡眠時間はどのくらい?


まず高齢者の睡眠の特徴として、適切な睡眠時間を知るために平均的な高齢者の睡眠を解説していきます。

高齢者の最新平均睡眠【2017年の生活習慣調査結果】

1日の睡眠平均時間

上記表※1を見て下さい。これは政府が統計を出している生活習慣調査の結果です。これを見ると60歳以上の方は、6時間以上7時間未満睡眠をとっている人が一番多くいることがわかります。
次に60代の方は5時間以上6時間未満の睡眠、70歳以上の方は7時間以上8時間未満寝ている人が多くいます。
この結果をみると高齢者の方もしっかりと睡眠時間を確保していることが分かります。
しかしそんな中、60代の方は7.7%の人が、70歳以上の方は6.7%の人が、5時間未満の睡眠と答えています。5時間未満は、睡眠不足と言ってもいいでしょう。この睡眠状態を続けていると病気を併発するリスクがあります。ではどのくらい寝るのが理想的なのでしょうか。

高齢者は何時間寝るのが理想なの?

高齢者の理想の睡眠は、6時間以上の睡眠と言われています。60代で理想睡眠に達していない方は、38.9%います。70歳以上の方は、26.9%です。
また60代の15%、70代以上の9.9%の人が質の良い睡眠が取れていないと回答しています。

睡眠の質の状況

高齢者の睡眠の質はあまり良くない?

前述したように、60代の15%、70代以上の9.9%の人が質の良い睡眠が取れていないと回答しています。
実は、年齢を重ねると眠りが浅くなり、熟睡しにくくなる特長があります。覚醒しやすくなり、夜中に目覚めてしまったり、早朝に目覚めてしまったりする人が多くいるのです。
このことによって睡眠リズムが乱れ、更に眠れない状況を加速させたり、日常生活にも問題が現れたりします。ではどうしたらしっかりとした睡眠が取れるのか、良い睡眠を保つための方法をみていきましょう。

良い睡眠を保つ~高齢者の不眠の原因・対策を一挙紹介!

【1】朝から日光を浴びて体を動かす

日光を浴びて体を動かす

不眠の原因の一つとして、体内時計の乱れが挙げられます。対策としてオススメなのが、太陽光を浴びることです。太陽光を浴びると睡眠ホルモンであるメラトニンの分泌が止まります。そうすることで目がしっかりと冴え、活動する体に変化します。特に午前中の早いうちから動くことが望ましく、一日の体内時計を正常にします。
軽い運動も重要で、日光を浴びながらおこなうと体内の循環が良くなり、セロトニンやビタミンDの生成を活発化させます。

介護施設の高齢者にオススメ

散歩による軽い運動をおこなう際は、夏なら暑くなる前の廊下や施設周りの庭で、冬ならしっかり日光が登って温かくなった後に外に出ておこなうことをオススメします。


【2】規則正しい生活サイクルを作る

規則正しいサイクルを作る

不眠を招く原因として、生活リズムの乱れがあります。これも体内時計の乱れに繋がります。毎日寝る時間や食べる時間、運動する時間が変わってしまうと、規則正しい体内時計が作られません。理想の睡眠を手に入れるためには、決まった時間に就寝・起床・食事・運動のサイクルを作ることが大事です。

介護施設の高齢者にオススメ

一日のスケジュール表を作成し、決まった時間に決まった行動を起こすよう施して体内サイクルを整えてみましょう。


【3】就寝環境を快適に整える

就寝環境を整える

高齢者は若者に比べて眠りが浅い傾向にあるため、就寝環境が悪いことも不眠の原因となります。たとえば夜、暑すぎたり寒すぎたりすると眠りが浅くなり、変な時間帯に目覚めてしまいます。そのようなことを防ぐために部屋の温度は、快適な温度にすることが肝心です。夏場は25℃~28℃、冬場は18℃~22℃が理想です。室内湿度は50~60%を保ちましょう。

介護施設の高齢者にオススメ

個室の温度を管理するには、個々の室内温度・湿度を確認できるセンサーの取り付けをオススメします。室内環境をチェックすることで、最適ではない温度(30℃以上または10℃以下)を回避することができます。


【4】寝る前のお茶やコーヒー、お酒を禁止する

寝る前のお酒やお茶、コーヒーの禁止

不眠を招く代表的な成分として、カフェインが挙げられます。カフェインは「利尿作用」と「覚醒・興奮作用」があり、どちらも睡眠時には大敵です。コーヒー、お茶(緑茶や紅茶)、ココア、栄養・健康ドリンク剤などのカフェインが含まれるものは利尿作用があり、頻繁に尿意で目覚めてしまう危険性があります。更に厚生労働省の資料※2によるとカフェインの効果は、3時間程持続するそうです。良質な睡眠のためには、夕方以降は飲まない方がいいと言えるでしょう。
他にも、寝酒は睡眠を妨害するものなので、夜遅くのお酒は控えさせることが肝心です。
また、就寝前の水分はどんな種類であれ、取り過ぎれば夜間のトイレに繋がります。しかし夏場は汗を多くかくため、脱水症状にならないよう水分補給も大事になります。その点を考慮しつつ、就寝直前は水を飲むのを避けるようにしてください。

介護施設の高齢者にオススメ

夜になったらできる限りお茶やコーヒーなどを避けて、水を飲ませるようにしてください。特に体を冷やさない白湯が一番いいでしょう。


【5】日中はベッドに長居させず活動し、昼寝は30分ほどにする

日中はベッドに長居させず、昼寝は30分ほどに。

日中の活動量によっても、睡眠は変化します。皆さんも、疲れている時ほど眠気が強くなったり睡眠時間が長くなったりすることがあると思います。高齢者の場合はこの逆で、日中の活動量が少なすぎることが不眠の原因となりえます。
たとえばベッドに長居すると、運動することがなく昼寝を多くしてしまいます。すると、肉体的疲労が少なく夜間眠気がこなくなってしまい、寝不足状態に。その不足を補うために昼間に寝てしまい、また夜に目が冴えてしまうといった悪循環に陥ってしまいます。
しかし昼寝をまったくしないのもよくありません。特に30分程の昼寝は脳の疲れを癒やし、日中活発に動くために必要な休憩になるからです。

介護施設の高齢者にオススメ

レクリエーション時間や昼寝時間を決まった時間におこなうようにし、高齢者の生活サイクルをコントロールしましょう。


最新技術「睡眠センサー」の活用で、良質な睡眠を促す!

近年ではセンサーを使い、眠りの状態を視覚化させることができるようになりました。
視覚化した睡眠状態リストは、高齢者の生活リズムを整える資料として役立ちます。高齢者の睡眠状態の改善をしたい場合は、こうした技術を活用するのも手かもしれません。
ここではそんな、高齢者の睡眠状態の把握に役立つ、睡眠センサーを取り扱っている企業をいくつかご紹介します。

パラマウントベッド

ベッドに取り付けられた睡眠スキャンで一日にどのくらいベッド上にいるのか、夜間深い眠りになっているのかを可視化します。可視化された睡眠日誌は入居者の規則正しいサイクルを作るのに役立てます。

まもる~の

現在お使いのベッドに、センサーを取りつけて使用する睡眠センサーです。集合表示ソフトで入居者の状態を一括確認できます。

睡眠見守りセンサー|まもるーの
「快眠と娯楽の融合サービス」で「心と体の健康」に役立つ睡眠見守りセンサー「まもるーの」のご紹介。 「非接触」「非侵襲」で睡眠グラフを表示する。 入床、入眠、離床、起床時間と睡眠深度環境状況を表示します。

ライフリズムナビ+Dr.

専門医と連携した健康見守りサービスが特長。睡眠を測るだけでなく医療に基づいたアドバイス等をもらえます。

見守りシステム ライフリズムナビ+Dr. – 毎日の健康チェックに、高齢者の見守りに、幅広く活用できる「健康見守り型クラウドサービス機器」
大阪市立大学医学部疲労医学講座 共同開発【ライフリズムナビ+Dr.】は、生活状態(ライフリズム)を自動記録し「疲労回復度」「快眠指数」「快適環境指数」を毎日お届けするヘルスケアシステムです。異常時はアラートを通知。クリニックからの健康アドバイスも受けられます。

まとめ

高齢者の健康を保つためには、良質な睡眠を

睡眠をデータ化させることで、近年ではより具体的な睡眠方法がアドバイスできるようになりました。このように良質な睡眠を維持するためのシステムが、今後も進んでいくでしょう。しかしいくら可視化された睡眠情報があっても、実際によく眠れるよう高齢者と共に寝やすい状況を作り上げなくてはいけません。睡眠の重要性を考慮し、高齢者のための睡眠プランを是非作成してみてください。

弊社では、ベッド内で利用者がどのような状態になっているのか一括確認できる「見守りシステム」を取り扱っています。もし興味がある方は下記URLからご覧ください。

Yuiステーション(見守り管理システム)~ナースコール・呼出確認・見守り
ナースコールの呼出表示、履歴管理、見守りセンサー情報表示など、ナースコールシステム全般を確認、管理する集中管理システム。カメラ接続で呼出があったカメラ映像を自動ポップアップすることもできます。

出典情報

※1 政府統計:国民健康・栄養調査
※2 厚生労働省健康局:健康づくりのための睡眠指針2014