介護施設で転倒事故を防ぐには?原因から対策まで解説!
高齢になると、身体的な活動能力やバランス感覚・注意力が衰えるため、転倒事故を起こしやすくなります。
こうした高齢者の転倒事故は発生する頻度が高いにもかかわらず、最悪の場合寝たきりのキッカケにも繋がってしまうので恐ろしいですよね。介護施設でケアをする際も、転倒には十分気を付ける必要があります。今回はそんな転倒事故が介護の現場で起きやすいケースと、その対策についてまで見ていきましょう。
目次
介護施設でおきやすい事故No1は転倒?
まず最初に、介護施設で起こりえる事故の区分内容を見てみましょう。
上記表から見てわかる通り、特養やショートステイ他どの施設においても割合が大きいのが「転倒」となっています。
また全ての施設のトータル的な数値で考えても、「転倒」が全事故のなんと約六割を占めています。さらに「転落」と合わせると、施設で起こりうる事故の実に七割という結果になっています。転んだり倒れたり落下したりすることによる事故が、介護施設で起きる事故の大部分をしめている現状が見えてきます。
転倒事故の発生はなぜこわいのか?
介護施設で起こりやすい転倒事故は、なぜこわいのでしょうか?
実は高齢者の転倒は、容態を悪化させ要介護度を引き上げる原因になったり、場合によっては死に至るという統計があります。転倒事故を避けたい理由について、具体的に見ていきましょう。
理由1:容態(要介護度)を悪化させてしまう
転倒事故は、高齢者の容態・介護度の悪化に影響を及ぼすと言われています。上記図をご覧ください。厚生労働省の調査によると、要介護度別にみた「介護が必要となった主な原因」で、「転倒骨折」が上位に食い込んできています。
高齢者は転倒時に骨折が起きやすいという事実もわかり、介護が必要となる要因に転倒が深く関わっていることが分かります。
理由2:死亡事故の原因としても多い
また、転倒事故は寿命にも関わってくる…という統計データもあります。上記図の「不慮の事故の種類別にみた年齢別死亡数」によると、80歳以上の高齢者では「窒息」についで「転倒・転落」による事故死が多いということがわかります。
転倒によって介護度が上がってしまう可能性だけでなく、亡くなる原因となってしまう危険性もあるんですね。高齢になるほど、転倒による身体への影響が大きいという傾向も見えてきます。
理由3:施設にとっては訴訟が起きるリスクがある
転倒事故を避けたい三つ目の理由としては、介護施設で起きた「転倒・転落事故」は「訴訟・裁判に繋がる恐れ」があるということです。
判決で不法行為となった場合には、関わった職員だけではなく雇っている介護施設を運営する事業者もまた責任を負い、損害賠償を行うことになります。
転倒・転落事故において「適切な予防策を行っていない場合」の判決においては、過失・損害賠償請求が認められやすい傾向にあります。介護施設には、転倒・転落をしないための「適切な対策」が求められているのです。
介護施設での転倒事故は、いつどこで起こる?
では、転倒事故は介護施設のどこで起こる危険性が高いのでしょうか?転倒事故が発生しやすい場所について、詳しく見ていきましょう。
転倒事故が起きる場所の1位は”居室”
上は「転倒が起こった場所」と「転倒の原因となった行動動機」のクロス図です。この図から転倒事故について、分析してみましょう。
図を見ると場所としては「居室」での事故が圧倒的に多く、行動としては「自力歩行時、移乗時、立ち上がり、自己体動時」に事故が多いこと分かります。
更にこの資料で読み取れる事故が起きやすい「場所」と「行動」から想像してみると、「居室内にいて自分でトイレに行こうとした時」といった風に、事故が多いシチュエーションが具体的に見えてきます。
転倒事故に関わる機器=ベッド
上図を見たところ、事故に最も関係する機器として「ベッド」の割合が大きいことがわかります。ベッド周辺での転倒事故が多い、ということですね。
先ほどの「居室」で「自力歩行時、移乗時、立ち上がり、体動時」に転倒事故が多いという点も踏まえてシチュエーションを考えると、「寝ている安静の状態から行動を起こすときに転倒事故が起こりやすい」というイメージが見えてきます。
転倒事故の防止は、どう対策したらいい?
これまで転倒事故に関する具体的な情報を述べてきましたが、利用者にとっても施設にとっても厄介だということが浮き彫りになりました。ではその厄介な転倒事故を防ぐためには、介護施設としてどのような対策を行ったらいいのでしょうか?
転倒予防には、「転倒リスクが高い被介護者は特にしっかり補助を行う」という介護時の心構えとしての対応や、「日頃から筋力を減らさないようにトレーニングを行う」という転倒しにくい身体を作る対応や、「転倒が起きそうな場所にはちゃんと手すりを設置する」という環境面での対応など、様々な角度から対策が可能です。
そんな多くの対策の中で今回は、前述した転倒事故の起こる危険性が高い「居室」に場所をしぼり、安静時から移動・移乗しようとした際の転倒防止対策について考えていきたいと思います。
「ベッドで見守りナースコール」で転倒を予防!
最も転倒事故が起きやすい居室は、1日の内で利用者が過ごす時間が長く、スタッフの目が届きにくいという特徴があります。
また、ベッドからの起き上がり、ベッドからの離床など、事故が発生しやすい状況が多く起こる場所です。そんな居室にいる時の利用者の動きを見守り転倒事故を防ぐには、スタッフに代わってベッドが常時見守る「ベッドで見守りナースコール」が最適です。
ベッドが利用者の動向を見守る?!
ベッドで見守りナースコールの強みとして、スタッフが見回りをせずとも、事務所に設置した管理PC画面上から「利用者がどのような状態なのか」を確認することができる点が挙げられます。これは精密な離床センサーと連携することで、体動や端座位など、利用者の細かな動作を検知できるからです。
特に介護度が高く1人での行動に危険が伴う方や、夜間など足元がふらつきやすい時間帯に関しては、事故が起こりえる前段階である「起き上がり・離床の把握」を徹底したいところ。「行動の際はナースコールを押すように」と促していても、なかなか行うことができない利用者さんもいらっしゃいます。
そんな悩みも「ベッドで見守りナースコール」なら、転倒の元となる「動作が発生する前段階」で検知できるので、異常にいち早く気づくことができるのです。
▼見守りナースコールについて、詳細は下記をご覧ください。
介護見守りナースコール(24時間365日見守り・看取り介護)|平和テクノシステム
まとめ
いかがでしたでしょうか。施設の安全管理としては、日頃から転倒・転落の恐れがある状況や環境を把握し対策していくことも必要ですね。転倒の原因となる障害物をなくす事、補助バーなど移動の際の支えとなる物を導入する事はもちろん、転倒しにくい肉体づくりとして、筋力強化や姿勢を保持できるようにバランス練習を促すなど基本的な対策も重要でしょう。
また、万が一転倒が発生してしまった場合には、対処方法をマニュアル化し、場合によっては医師への連絡がスムーズに行えるようにしておきましょう。家族への報告・再発防止の対策などもマニュアルに含め、適切な対処を素早く行えるよう対策する必要があります。
場合によっては、機器によるサポートも検討したいものです。今回対策としてご紹介した「ベッドで見守りナースコール」は、現在注目されている介護ロボットの分野。
介護ロボットの導入によって夜勤配置加算が緩和されたりといった利点もありますので、転倒対策・見守り強化として導入を検討してみるといいかもしれません。